木は「圧縮」「曲げ」「引っ張り」をはじめ、さまざまな性能※において優れているだけではなく、 他の建築素材と比較しても良好なバランスがとれた素材といえます。その秘密は細胞にあります。木は、無数の細胞壁を持つ天然のコア構造になっていて、 細胞は鋼鉄の5倍以上の強さを持つミクロフィブリルという微細繊維による細胞壁を形成し、細胞壁間には接着剤のような働きをするリグニンが存在しています。 この天然の緻密なコア構造が、「圧縮」や「曲げ」などの力にバランスよく抵抗して木の強さを実現しているのです。 |
木には湿度が上がると湿気を吸収し、乾燥すると水分を放出する調湿性能があります。
たとえば衣類や食品などの保存用木箱の内と外の湿度を比べると、外部の湿度が大きく変化しても、木箱内の湿度はほぼ一定を保ちます。
また、木:コンクリート:鉄で熱の伝わりやすさを比にすると、1:10:353となります。木の特性をいかせば、湿度を一定に保ち、
かつ、夏は暑さを室内に伝えず、冬は室内の暖かさを外に逃がさない、快適な住まいが実現できるのです。
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木は鉄に比べて火に弱い、というイメージがありますが、実は鉄より火に強いともいえます。その理由は、火は酸素がないと燃えないという当たり前の性質にあります。木は火がつくと表面が炭化して内部への酸素供給を断ち、燃えにくくなるために強度は急激には下がりません。ところが、鉄は600℃を超えると強度が低下しはじめ、720℃で変形が大きくなります。また、木は腐りやすいと思われていますが、「温度」「水分」「酸素」「栄養」の4つが揃わない限り腐朽菌は繁殖しません。よく乾燥させるなど適切な処理を行えば、木は1000年を超える耐久性を発揮するのです。 |
木には心身をリフレッシュさせる森林浴効果や、抗菌・消臭の働きなど、人にとってはとても有益な効果が多くあります。 これは、樹木から放散される木の香りの正体、フィトンチッドによるもの。また、不快音は吸収し、 心地よい音だけ反射する「耳にやさしい性質」や、表面の微細な凹凸が乱反射を防ぐ「目にやさしい性質」など、木と人との相性のよさは折り紙つきです。 |